冬の気配が近づくと、ふと恋しくなる「おでん」。
そのおでん種を毎朝ひとつずつ丁寧に手づくりしている老舗が、西八王子・長房町にある「梅屋蒲鉾店」です。
創業は昭和43年(1968年)。
半世紀以上にわたって長房団地の暮らしとともに歩み続けてきた、八王子でも数少ないおでん種専門店です。
初めて訪れたはずなのに、どこか懐かしい。そんなあたたかさを感じるお店をご紹介します。
昭和の面影残る商店街

場所は、西八王子駅から北西へ進んだ先にある「長房新栄商店街」。団地が建設された1960年代から続く商店街で、歩くだけで昭和の空気を感じることができます。
近くにはスーパーアルプスやカインズなど新しい施設が増えてにぎやかになりつつありますが、商店街に足を踏み入れると、時間がふっと巻き戻ったような不思議な感覚に。
閉業したお店も増える中、変わらず暖簾を守り続けているのが梅屋蒲鉾店です。
整然と並ぶ美しいおでん種

お店の前に立つとまず目に飛び込んでくるのが、手づくりおでん種が整列するショーケース。
色ムラなくカラッと揚がったさつま揚げ、野菜がたっぷり練り込まれた野菜揚げ、ちょっとワクワクする変わり種の巻きものシリーズ。
素朴なのに華やかで、ひとつひとつ表情が違うのが手仕事ならではですよね。
店頭のおでんは全品120円
梅屋蒲鉾店の魅力は、手づくりの練り物だけではありません。

出来たてのおでんが、なんと1品120円という驚きの価格。種類豊富な練り物や大根、こんにゃく、卵……湯気といっしょに立ちのぼる出汁の香りに、思わず足が止まってしまいます。
どれもおいしそうで選ぶのにひと苦労

おでんを眺めていると、どれもおいしそうでしばらく悩んでしまいました。結局この日は、練り物や大根、卵などのおでんをいくつか選んでテイクアウト。

包んでもらった袋はほんのりあたたかくて、まるで実家の母がおかずを持たせてくれたような気持ちに。“作り手の顔が見える”というだけで、食べる前からこんなにうれしくなるんだなと感じる瞬間でした。
持ち帰ったおでんをいざ実食!

さっそく家に帰って、おでんを味わってみることに。
野菜揚げ

細かく刻まれた野菜が入っていて、噛むたびにシャキッとした食感が楽しめます。
つみれ

手づくりのつみれは、口に入れた瞬間に魚の旨みがふわっと広がります。魚の風味はしっかり感じるのにクセがなく、口当たりもやさしいお味です。
大根と卵

しみしみ大根は、口に運ぶと出汁の旨みがじゅわっと広がります。卵は、黄身の中心までほんのり味が染みています。
あたたかい接客が愛される秘密

今回初めて伺いましたが、おでんのおいしさはもちろん、店主のあたたかい接客もファンが増える理由だと実感しました。
「今日はおでんにしようかな? 自分で作ろうかな?」と迷う私に、ひとつひとつ丁寧に説明してくださり、家族の好みまで聞きながら選んでくれる優しさが印象的でした。
セルフレジやネットスーパーが当たり前になった今だからこそ、こうしたあたたかなやり取りが一層心に沁みるのかもしれませんね。
遠方なら公式通販もおすすめ

「遠くてなかなか行けない…」「家族にも食べさせたい!」
そんな声に応えて、梅屋蒲鉾店では通販サイトを運営中。地方発送も可能で、贈り物にも喜ばれています。
公式通販はこちら(https://umeyakamabokoten.raku-uru.jp/)。
揚げたてのおいしさとはまた違う、じんわりと染みるやさしい味わいを楽しんでみてください。
一度は立ち寄りたい“心のおでん種店”

長房団地の歴史とともに歩んできた梅屋蒲鉾店。創業以来続く 「ずっと変わらないおいしさ」と「変わらない優しさ」がここにはあります。
商店街の中にぽつんと灯る、あたたかい明かりのようなお店。どこか懐かしくて、また行きたくなるはず。
八王子の冬に欠かせない、心も あたたまるおでん種をぜひ味わってみてください。
梅屋蒲鉾店
住所:東京都八王子市長房町551-151
アクセス:JR中央線「西八王子駅」から車で約7分
TEL:042-661-7317
営業時間:10:00-18:00
定休日:日・月曜日





















