野猿街道と柚木街道が分岐する下柚木交差点のすぐ側に1968年(昭和43年)創業の老舗「キング洋菓子店」があります。
周辺を車で走ったことのある方なら “ゆぎ巻”と書かれたタペストリーが飾られたお店を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
“ゆぎ巻”の名前も、お店の場所も知っていたけれど、足を運んだことがなかった「キング洋菓子店」へ息子と一緒に訪れてみたので、ご紹介します!
南大沢駅から車で約10分。“ゆぎ巻”のタペストリーが目印です

南大沢駅から車で約10分。
バスでは、八王子駅南口・京王堀之内駅・聖蹟桜ヶ丘駅行きに乗り「由木折返場」下車、徒歩約3分の場所です。
決して目立つ店構えではありませんが、柚木街道沿い、下柚木交差点すぐの場所に建っているため、見つけやすいと思います。
お店の前に飾られている “ゆぎ巻”のタペストリーと、のぼり旗が目印です。
車で行く際には、お店の横に3台分の駐車場があります。
半世紀以上にわたって、地域に愛され続けているお店
お店の辺りは、1964年(昭和39年)に八王子市へ編入されるまで「由木村」と呼ばれていました。
その由木村で生まれ育った先代のご主人から、今では息子さんへと引き継がれ、昔ながらの味を大切にしたケーキとパンのお店をご家族で経営されています。

「キング洋菓子店」が開店したのは、1968年(昭和43年)。
その頃は、道もデコボコで、雨が降ると水たまりが、あちこちにできて大変だったそうです。
お店の周辺は、田畑だらけで、レンゲの花が咲き誇る自然豊かな地域だったとのこと。今の下柚木周辺の景色からは想像できないですよね。
今では整備されている大栗川も、曲がりくねった細い川だったそうで、川沿いの桜並木も昔はなかったと聞き、驚きました。
お店のことだけでなく、当時の景色のお話もたくさん聞かせてくださったのは、先代の奥様。看板娘のおばあちゃまです。
いろいろなお話を優しい口調でしてくださり「キング洋菓子店」に対する想いや愛がとても伝わってきました。
店内には、たくさんの種類のケーキとパンが並びます

ちょっぴり懐かしくも感じる、レトロな雰囲気の店内には、いろいろな種類のケーキが並んでいます。
その中でも、モンブランは3種類あり、テレビ局から取材を受け「親子二代で作るモンブラン」としてTVに紹介されたこともあるそうです。
たくさんの賞状や写真が飾られた店内からは、57年という半世紀以上にわたる歴史が感じられます。

以前は、近隣の中学校に出張販売しに行っていたというパンも、たくさんの種類がありました。
ケーキにパンに…どれを選ぶか悩んでしまいますよね。
キング洋菓子店の名物と言えば… “ゆぎ巻“!!

お店の看板商品は、なんといってもこの“ゆぎ巻”生ロール!
フィルムに貼られたシールの「昭和四十三年から巻いてます。」の文字に思わず目がいきます。
横の長さは20cmもあり、親戚やお友達への手土産としても喜ばれそうですよね。
ゆぎ巻は、生ロール以外にも種類があります。

こちらは、生チョコロール。
これからの季節、バレンタインのプレゼントにもぴったりですね。
「キング洋菓子店」は、チョコレートにも定評があると聞いたことがあるので、次回は、こちらもいただいてみたいです。

レーズンバターロール。
レーズンが透けて見える生地が、何ともいえず、かわいらしい商品です。

カットしたゆぎ巻も売っていて、いろいろな味を少しずつ楽しみたい方には、うれしいですね。
57年前の開店時から変わらぬ味、“ゆぎ巻”が絶品!

さっそく、かわいらしいケースから取り出して、ゆぎ巻をいただいてみました。
まず切ってみると、中に生クリームがぎっしり!スポンジもふわふわです。
素材の味がしっかりする生地。そして、何より生クリームがおいしい!甘すぎず、くどさもなく、さらっと食べられてしまう一品でした。
いろいろなお店でロールケーキが買える今の時代ですが、この“ゆぎ巻”を57年も前から作り続けていることに、驚かされます。
おすすめのケーキも買ってみました
ケーキを購入すると、先代の奥様が丁寧に包装してくださいます。

箱の上に包装紙をかけ、リボンで丁寧に結ばれています。
このひと手間にほっこり心が温かくなり、子どもの頃に、ケーキを親に買ってもらった時のワクワク感を思い出しました。

こちらは、人気NO.1という「サバラン」
サバランとは、フランスの焼き菓子だそうです。
ケーキの上に、たっぷりかかったアプリコットジャム、間に挟まれた生クリーム。そして、ハーブの葉で彩りがとてもきれいです。
フォークを入れてみると、生クリームの下にあるブリオッシュという生地にブランデーがたっぷりしみ込んでいて、あふれ出してきます。
お酒好きな夫は「これは、うまいわ!」と大絶賛していました。
お酒が飲めない私には、ちょっぴり大人の味でした。お酒好きな方は、ぜひ食べてみてくださいね。

こちらは先代が考案し、作り続けていたという「モンブラン」
今の時代、いろいろなおしゃれなモンブランがあるけれど、私が小さいころに食べたモンブランを思い出すような懐かしい味でした。
息子もかなり気に入ったようで、大人だけでなく、子どもにも愛されるモンブランだからこそ、いつまでもファンが多い商品なのでしょうね。
二代目のご主人考案の和栗入りの「ニューモンブラン」は、売り切れてしまっていたため、今度は、ぜひ、そちらも食べてみたいです。
二代目が繋いでいく味と店…そして思い出

先代の奥様が対応してくださっている間も、厨房でもくもくと作業をされていた二代目ご主人。
「父親が残してくれたものを作っていきたいと頑張ってくれています」と話す先代の奥様のうれしそうな表情が印象的でした。
今では梅パイや栗パイなど、先代のご主人が作っていた商品の味を再現できるようになってきたとのこと。
機械に頼るようになった今の時代でも「キング洋菓子店」では、昔と変わらない製法で作り続けているため、味も昔と変わらないのだそうです。
小さい頃に食べた思い出の味は、大人になっても忘れない懐かしいものですよね。
当時、親に連れられて来ていた子どもが、今では親となり「まだお店やっていたんですね!」と、お店を見つけて、ケーキを買いに来てくださっている方も多いそうです。
この下柚木の地で、これからも地域から愛され続けるお店であってほしいと心から思うような温かいお店でした。
みなさんもぜひ「キング洋菓子店」に足を運んでみてくださいね。
キング洋菓子店
住所:東京都八王子市下柚木2-9-3
アクセス:京王相模原線「南大沢駅」から車で10分、「由木折返場」バス停から徒歩3分
TEL:042-676-9329
営業時間:9:00-21:00
定休日:月曜日(月曜祝日の場合は火曜休み)