日本で唯一「桑都(そうと)」と呼ばれるほどに、養蚕や織物で発展してきた八王子。
令和2年に日本遺産に認定された八王子の「桑都物語」は、高尾山や八王子城跡などの史跡、織物や祭にまつわる伝統文化など、合計30件の構成文化財を通じて、八王子の歴史や文化を伝えるものになっています。
そんな桑都・八王子の魅力や、全国各地の日本遺産に触れられるイベントに参加しました。
展示ブースやワークショップでにぎわう会場
イベントは、1月12日(日)、13日(月・祝)と2日間に渡って、JR八王子駅・京王八王子駅近くの東京たま未来メッセの展示室にておこなわれました。

テーマは「日本遺産・桑都フェスタ2025 ~繊維でつながる「織物のまち」~」ということで、全国から「織物」「染物」など繊維をテーマとした日本遺産が集合。
ブース展示や物販、ワークショップなどの催しがおこなわれました。

会場に入ると、繊維にまつわる日本遺産のブースがずらりと並び、たくさんのお客さんでにぎわっています!
中央のスペースでは、型染め体験や、繭玉を使ったキーホルダーづくりなど、「織物のまち」八王子を体験できるワークショップが開催されています。
特に子どもたちに人気のコーナーになっていました。

八王子オリジナルブランドの展示発表
まずは、八王子の展示スペースに行ってみます。

新しく誕生した八王子のオリジナルブランド「ottary(オッタリー)」が紹介されていました。
「桑都物語」を背景とした取り組みで開発された製品で、八王子ゆかりのデザイナーのほか、染物工場、織物工場の協働で製作されています。
ブランド名には、織ったり、染めたり、紡いだり…という、「織物のまち」八王子の生業をシンプルに表したフレーズをそのままの音で表現し、すべての人に八王子産のテキスタイル製品に親しんでいただきたい、という思いが込められているそうです。

商品化されているのは、「街歩きトートバッグ」と「山歩きタオル」。
トートバッグは、伝統的な手差し型染めにより、歴史ある八王子の風景を表した模様のほか、手捺染により八王子の日本遺産にゆかりの場所や文化財を英字で組み合わせた、現代的なデザインもあります。

織物の技法が使用されているタオルは、サンプルを触ってみると、とてもふわふわとした触り心地でした。
八王子ならではの伝統技術と、現在のデザインが融合した製品たち。
これからどんどん生み出されていくのが楽しみです!
繊維にまつわる各地の日本遺産
全国各地のブースも回ってみました。
絹糸でつくられたアクセサリーの展示販売や、コースターの製作体験がおこなわれていた、群馬県・桐生市のブース。

埼玉県行田市では、構成文化財である「行田足袋」のほか、お菓子などのお土産も販売されていてにぎやかなブースでした。

徳島県の阿波市のブースでは、見事な藍染の製品が展示されていました。

こちらのブースでは、4地域で連携して製作された製品も展示されていました。
群馬県の生糸を山形県の紅染め、徳島県の藍染めで染め上げ、八王子で織る、それぞれの技術が集結した作品。
地域をまたいで、糸を紡いで染めて、織って、縫製して…という過程を経て生み出された、日本遺産の繋がりならではの製品は、とても貴重なものだなと感じました。

紹介しきれないほどの団体が出展していましたが、八王子以外にも、日本遺産にまつわる8つの団体が参加されていたそうです。
日本遺産の紹介を通じて、観光情報に触れられたり、お土産の販売コーナーがあったり、アンケートでプレゼントをもらえたりと、楽しみながら興味が広がる展示になっていました。
八王子織物工業組合の展示も
となりの展示室では、八王子織物工業組合による「千百年を紡ぐ八王子織物展」が同時開催されていました。
手織り機の体験や、工場見学のVR体験、ネクタイのデザインコンペなど、こちらも見ごたえのある展示となっていて、織物のまちとしての八王子についてより理解の深まるものでした。

文化財を次世代へ繋げる取り組み
イベントを主催する、日本遺産「桑都物語」推進協議会の事務局の方にお話を伺いました。
まず「日本遺産」について、現在では日本全国で104件が認定されており、八王子の「桑都物語」は、東京都で初、88番目に認定されたそうです。
日本遺産では、文化財の保存活動だけではなく、地域の活性化や次世代に繋がるような、文化財の活用が大きな目的となってきます。
八王子といえば高尾山が有名ですが、「桑都物語」を構成する他の構成文化財や、伝統文化についても、より多くの方に知っていただきたいと言います。
このため、協議会では、イベントの開催や、観光ガイドの制作などを通じて「桑都物語」の普及活動をしています。

私自身も、今回のイベントを通じて、八王子の伝統文化と新しいデザインが融合した製品に出会ったり、全国の日本遺産に触れたりと、新たな学びになりました。
このような体験を通じて、地域の歴史や文化に人々が興味を持ち、次世代に繋げていく動きは、とても重要なのだなと改めて感じます。
今回の織物に限らず、これからも八王子の魅力を伝える活動を継続されていくということですので、みなさんもぜひ注目してみてください!
日本遺産・桑都フェスタ2025 ~繊維でつながる「織物のまち」~
※イベントは終了。下記問い合わせ先
住所:東京都八王子市元本郷町3-24-1 八王子市産業振興部日本遺産推進課内
日本遺産「桑都物語」推進協議会 事務局
TEL:042-620-7434
Instagram:@japan.heritage.soto