八王子駅からユーロードをまっすぐ進み、甲州街道の八日町交差点へ。
歩いて10分ほどの場所に、八王子っ子なら一度は名前を聞いたことがある伊勢屋本店があります。
創業はなんと1928年(昭和3年)。約100年、ずっとこの場所でお団子や大福、まんじゅうを作り続けてきた老舗の和菓子屋さんです。
今回は、そんな八王子の甘味処として愛され続ける伊勢屋本店をご紹介します。
ほっとする昭和レトロの空気
伊勢屋本店のショーケースには、みたらしだんごや豆大福、すあま、助六寿司などがずらり!手書きの札が添えられていて、どこか懐かしい気持ちになります。

レジ横では、今も現役のそろばんが活躍中です。「パチパチッ」という珠の音が響くと、まるで時間がゆっくり流れているような感覚になりました。
そして何より、このお店の魅力は店員さんのあたたかさ。優しくて親切で、迷っていると「これもおいしいですよ」と声をかけてくれます。そのやり取りが心地よくて、ついまた立ち寄りたくなってしまうんですよね。
甘じょっぱさがくせになる『みたらしだんご』
取材で伺った日も、次々と売れていったのが人気のみたらしだんご。焼きたての香ばしい香りに包まれると、思わず手が伸びてしまいます。

ひと口かじると、もちもちの団子に濃厚なたれがとろりと絡み、甘みと塩気のバランスが絶妙です。伊勢屋のみたらしだんごを求めて通う人が多いのも納得ですね。

しかも、みたらしは店の奥で次々と焼き上げられていて、ほとんどができたてです。タイミングが合えば、湯気の立つほやほやをいただけるかもしれませんよ。
やさしい甘さの『あんだんご』と『豆大福』
上品な甘さが魅力のあんだんごは、なめらかなこしあんがたっぷり。
もちもちの団子と絶妙にマッチしていて、ほうじ茶を片手にゆっくり味わいたくなるおいしさです。

そして、もうひとつの人気商品の豆大福。

しっかりとした皮に塩気のある豆が練り込まれ、つぶあんの甘さを引き立てます。
素朴だけど満足感があり、「やっぱり伊勢屋の大福だな」と思わずうなずいてしまいました。
本当は秘密にしたい『味噌まんじゅう』
ちょっと珍しいのが、味噌まんじゅう。ふんわりと味噌が香る生地の中に、やさしい甘さが広がります。

正直、最初は「味噌まんじゅうってどうなんだろう?」と思っていたのですが、食べた瞬間、予想を裏切るおいしさにびっくり!香ばしい味噌とあんの相性が抜群で、一気にファンになってしまいました。
ただ、このお菓子はあまりたくさん作れないそう。
店員さんいわく、「広まりすぎると大変なので、こっそりファンになってくださいね」とのことですよ。
木・金限定の『あんドーナツ』
木曜と金曜だけ店頭に並ぶあんドーナツも人気の一品です。外はカリッと香ばしく、中はしっとりやわらか。グラニュー糖がまぶされた素朴な見た目が、どこか懐かしいですよね。

ひと口食べると、なめらかなこしあんの甘さが広がって、どこか子どもの頃を思い出す味です。数量限定なので、見かけたら迷わずゲットしてみてください。

焼きたてを味わう喫茶コーナー
お店の奥には、ちょっとした喫茶コーナーがあり、購入した和菓子をその場で味わうことができます。私は今回はお持ち帰りにしましたが、店員さんいわく「焼きたてをその場で食べるのが一番おいしいですよ」とのこと。

みたらしの香ばしさを想像しながら、次こそはここでゆっくりいただきたいなと思いました。
そして、喫茶コーナーの手前には、創業時からお店の象徴として愛されてきた巨大だんごのオブジェが今も大切に飾られています。

かつては店頭で街の目印になっていた名物で、経年劣化のため今は店内展示に。長い歴史を見守ってきたその姿を前にすると、なんだか胸が温かくなりますね。
約100年続く変わらないおいしさ

伊勢屋本店を訪れると、どこか安心する空気が流れている気がします。丁寧に作られたお団子や大福には、長く愛されてきた理由が感じられました。
みたらしの香ばしさや、あん団子のやさしい甘さ。どれも「いつものおいしさ」として八王子の暮らしに根づいている伊勢屋本店に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
伊勢屋 本店
住所:東京都八王子市八日町10-3
アクセス:JR中央線・横浜線「八王子駅」から徒歩約10分
TEL:042-622-2904
営業時間:9:00-18:00
定休日:火・水曜日




















