八王子市上野町の「金剛院」で出会った、凛と咲く蓮の花

息子が産まれて間もないころ。
私は、子どもを抱っこして自宅周辺をよく散歩していました。

ある日、大きな山門と広い境内にさそわれ、ふらりと立ち寄ったのが「金剛院」。

ゆっくりと境内の奥に進むと、蓮の鉢がずらりと並んでいました。
その様子は圧巻。

蓮の花が咲く時期は、どんな景色が見られるんだろう。
今年、時期を見計らって行ってみました。

静かな境内へ 広い石段を一歩一歩

実は「金剛院」の蓮の花は一種類ではなく、全ての花が一度に咲きそろうわけではないのだそう。
きれいに見えるのは午前中とのことで、週末の朝に訪れました。

「金剛院」は、JR八王子駅から徒歩15分の場所にあります。
朝の静かな境内。
木漏れ日のゆれる広い石の階段を一歩一歩のぼっていくと、心が落ち着いてきます。

境内には、他に人の姿はありません。
寺務所に続く道の脇に、点々と咲く花がきれいです。

階段を登ってすぐ。
左手側には広場があり、大きな木々が夏の日差しに涼しげな影を作っています。

心が洗われる 朝日の中で凛と咲く、蓮の花

参道を挟んだ反対側。
なみなみと水をたたえた蓮の鉢の大群が現れました。

そうそう、この景色。
最初に見た時には、お寺の中にこんな光景が広がっているなんて夢にも思わず、驚きました。

蓮の花は、事前に伺っていた通り、一斉に咲いている様子はありません。
でも、花が咲いていない鉢の葉っぱのみずみずしい緑色は、朝の空気の中でさわやかな印象です。

そして…本堂の手前側。
スッと真っ直ぐにのびる、凛とした姿の蓮の花を発見。

朝日を受けて、花びらが透けるように見え、心が洗われるような情景です。
その奥にも、背筋をのばして咲く蓮の花が転々と。

それぞれの場所、それぞれのタイミングで咲く、「金剛院」の蓮の花。
私も、周囲に流されず、焦ることなく自分のペースで、堂々としていたいものだなぁ。
そんなことを考えさせられました。

不動明王と福禄寿 2人の神様がいるお堂

さて、本堂までの道。
蓮の鉢の大群の向かいには、手水舎がありました。

境内の最奥にあるのが、本堂。
ご本尊は不動明王です。

不動明王は、煩悩から抜け出せない人々を縛り上げて吊し上げても、救い出すそう。
嫌われても恐れられても助けてくれる、頼もしい神様。
いざという時に頼りたくなるのは、そんな存在かもしれません。

参道の途中の小さなお堂。
そこには、福禄寿(ふくろくじゅ)が祀られています。
幸福・俸禄・長寿の神様で、八王子七福神の一人です。

年明け、八王子は「七福神めぐり」といって、八王子ならでは“8つ”の寺院をまわって色紙に御朱印を集める開運企画が行われます。
市内を回りながらたくさんの神様に会いに行くのは、年明けの心機一転にぴったりですね。

一枚の絵のような 空へ昇る龍の松

境内には、「昇龍の松」と名前がつけられた、立派な松の木も見られました。

天に向かってうねりながら伸びる枝の曲線美。
昔の人は、こういう情景を見て、襖絵や掛け軸を描いたのかな、とふと思いました。

「金剛院」の歴史が始まったのは、1576年。
八王子城が築かれたとされる時期に前後し、元々は今とは少し離れた場所に、僧真清によって開かれたそうです。
八王子が栄え始めた時から、ずっとこの地で人々の心の支えになってきたんですね。

静かで広い境内。
不動明王と福禄寿、そして蓮の時期は凛と咲く花たちに、ぜひ会いに行ってみてください。

ちなみに、関東八十八ヶ所霊場の第六十三番札所として巡礼される「金剛院」。
御朱印は、先に挙げた「福禄寿」と「不動明王」(関東八十八ケ所)などがもらえます。

高野山真言宗 金剛院
住所:東京都八王子市上野町39-2
アクセス:JR中央線・川越線・八高線・横浜線・相模線 八王子駅 徒歩15分
TEL:042-622-9540

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。