みなさんは、日本庭園を散策したことがありますか?
水戸の偕楽園、金沢の兼六園、岡山の後楽園…数々の日本庭園が全国各地にあります。
私の中で、日本庭園は観光名所のイメージがありました。
でも実は、八王子には、無料で景観を楽しめる公園のような日本庭園があるんです。
JR高尾駅から徒歩15分の場所に、日本庭園がある!?
「高尾駒木野庭園(たかおこまぎのていえん)」を知ったのは、公園を特集した市の広報誌の誌面。
広い芝生や合体遊具の写真が載った、子どもが思いきり楽しめる公園の数々の中で、ひとつだけ“本格的な日本庭園”が紹介されていたのです。
場所は、自宅の最寄り駅からたった2つ先。
JR中央線・高尾線の高尾駅から徒歩15分。
気軽に行けそう!
ということで、ある日1人で行ってみました。
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時代をトリップ!懐かしい雰囲気あふれるお屋敷へ
庭園の入り口は突然、道端に現れました。
こちらのお屋敷の門。
高尾駒木野庭園の玄関口です。
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時代をトリップし、知人のお屋敷にお邪魔しに来たような感覚になりながら、ドキドキと園内へ。
入り口からは、石畳の小道が敷地の奥へと続いていました。
道沿いに進み、民家の角を曲がると、すっと景色が開け、山に対峙するお庭に出ました。
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「昔、昔…」と始まりそうな縁側。
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そっと置かれた柄杓(ひしゃく)。
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その時代に生きていたわけではないのに、なぜか懐かしい気持ちになります。
民家の向かい側には、丁寧に整えられた盆栽が誇らしげに並んでいました。
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私は盆栽に関しては全くの素人ですが、とても立派な姿に驚くばかり。
すでに、ここに訪れてみた価値があったなと思いました。
極楽浄土!?咲き誇る蓮の花、悠々と泳ぐ無数の錦鯉
さらに奥には、池泉回遊式の庭園があります。
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小さく揺れる、桃色の花の影が気になって奥へと進んで行くと…
「わっ!すごい!」
思わず声が出ました。
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蓮の花が咲き誇っています。
そして、澄んだ池の中を泳ぐ錦鯉。
ここは極楽浄土でしょうか。
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ふと、ジャバジャバジャバ…と、大きな水音が聞こえてきました。
どうやら、滝があるようです。
赤い木の葉の向こうに、水面に流れ落ちる滝が見えます。
水音が意外に大きく響いていて、涼しく感じます。
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足元には石橋がかかり、その下を大きな錦鯉が悠々と泳いでいました。
驚いたのが、池の鯉の多さ。
比較的遠目に写真を撮っても無数に映り込んできます。
こちらの錦鯉たちは、「全日本錦鯉振興会」によって寄贈されたそうです。
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池泉回遊式庭園は、私が普通のペースで歩くと、一周するまでに10分もかかりません。
しかし、その中に目を奪われる光景がギュッと詰め込まれていて、感嘆のため息と独り言(笑)が止まりませんでした。
老舗旅館に来たようなくつろぎの間と、芸術的な枯山水
ところで、先ほど通り過ぎた民家。
実は無料で中に入ることができます。
入り口は、お家の玄関のような場所。
おじゃまします!
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ピカピカの板張り廊下を進むと、山中の老舗温泉旅館に訪れたような、落ち着く雰囲気のお部屋が。
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畳に足を投げ出して、贅沢にくつろぎたい!
気持ちが良さそう!
茶室に付随する茶庭、「露路」も家の中からチラリ。
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そして、枯山水のお庭が眺められる部屋が、こちら。
四角く切り取られた景色が、絵のようです。
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縁側の外に広がるのは、またまた芸術的な光景。
水の流れを砂で表した、職人の技。
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静かなお屋敷で、いつまでも座って眺めていられそうです。
民家の中には喫茶席もあり、お茶を飲むことができます。
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コロナ禍のため、民家の在館時間は60分の制限がありましたが、日本の伝統文化を十分に堪能できたように思います。
ちなみに、民家は車椅子での見学もできるように、入り口に昇降機が設置してありました。
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庭園には街灯が転々と設置されていて、灯りに照らされた夕暮れ時の庭園も趣がありそうだなと、ふと思いながら帰宅しました。
さて、実は私、高尾駒木野庭園を後にして、ひとつ後悔したことがあります。
持ち帰ったパンフレットを改めて見てみると、見逃してしまっていた日本庭園の奥深さが山ほど、園内に詰め込まれていたことに気付きました。
石畳の小道や竹垣につけられていた名前、ひとつひとつの岩の形や配置、たびたび目にした灯篭の種類…すべてに意味があったのです。
ゆったりと何も考えずに景色を楽しむのも、一つの散策の仕方です。
ただ興味のある方はぜひ、民家内で手に入るパンフレットを片手に、一つ一つ意味付けられた日本の伝統文化を確かめながら歩いてみてください。
奥深い伝統文化と大人の時間、どこか懐かしい雰囲気を堪能できる、高尾駒木野庭園でした。
高尾駒木野庭園
住所:東京都八王子市裏高尾町268-1
アクセス:JR中央線・京王高尾線「高尾駅」より徒歩15分
京王高尾線「高尾山口駅」より徒歩15分
高尾駅北口バス乗り場 京王バス「小仏」行き「病院前バス停」
下車0分
TEL:042-663-3611
開園時間:[4~8月]9:00~18:00、[9~10月]9:00~17:00、
[11~3月]9:00~16:00
休園日:12月29日~1月3日(年末年始)